第7章 弟の安否
私は病院の受け付けに行き、案内された部屋に向かう
「明人っ!」
私は明人の病室を覗きこむと、
「おー、姉ちゃん。お疲れー」
と怪我をした本人はのんきそうに手をひらひらと振った。
無事な姿に思わず座り込んだが、心配して損だった気がした
「お母さんどうして明人が足の捻挫だけですんだって教えてくれなかったの⁉めちゃくちゃ焦ったんだよ⁉」
「ごめんね。お母さんもびっくりしてたから。でもまだ脳の検査してないから、入院はしなきゃいけないのよ。だから、一応ただの捻挫だけとは限らないから説明しにくいし…」
「ひどいなぁ、人のこと頭の中で重傷にするなんて」
「だって、事故にあったって言われて電話切られたら重傷だって想像するでしょう?」
何だか気が抜けてしまった
「それにしても随分速かったな。タクシーできたのか?」
それまで私達の三人の言い分を少しにやにやしながら見ていたお父さんが尋ねてくる
「友達に病院まで送ってもらった」
「え⁉どういうこと?」
お母さんは私のまわりに免許を持っている友達がいないので、混乱していた
「というか、今日友達に紹介してもらった人だけど」
「親切なひとね。ね、またその人家に連れてきてくれない?会ってみたいわ」
お母さんにそんなことを言われて焦った。どうやら女の子と勘違いしているらしい。
男の子で、元暴走族のリーダーだ、なんて言ったら卒倒しそうだ
「え、えっと。その子はちょっと…」
しばらくの間私がしどろもどろになっていると、
「姉ちゃん、もしかしてそいつ男?」
と余計な一声。
「そ、そんなわけないじゃん!」
思わず即答した私に家族のみんなが納得したような顔をした。どうやら男だとばれたらしい
その後、みんな少しニヤッとしたけれど、あんまり触れないでいてくれたので、少し安心した