第7章 四日目
「……ひとりじゃないみたいだ」
「え?」
「え? あ、ごめん、オレそういうのわかるんだ。人の“気”っていうんだけど……なんていうか、人のオーラ、みたいなものかな」
ユメに分かりやすいように説明してくれるトランクス。
「そ、そうなんだ! すごいね!」
……知っています。すごく。
そう思いながらも驚くふりをするユメ。
するとトランクスは微笑んでもう一度気を探り出した。
――確か、何の力もない普通の人の“気”は小さすぎて分かり辛いと漫画に書いてあった覚えがある。
「5人はいるな……あ。母さんが来る」
と、シュっとドアが開いてブルマが顔を出した。
ブルマは、なんとも言えない複雑な表情で言う。
「トランクス。あなたにお客さんよ」
「え……?」
ユメは、トランクスの驚いた横顔とブルマとを交互に見つめた。
「ちょっと行ってくるね」
そう言って、トランクスはブルマと共にリビングを出て行った。
ユメは笑顔で見送ったが、ひとりになりだんだんと不安になってくる。
誰だろう……。
まさか、街の人がトランクスを追い出そうとやってきたんじゃ……。
でも、もしそうならブルマが玄関で追い返しているはずだ。
じゃあ一体……。
昨日のことがあり、悪い考えばかりが浮かんできてしまう。
結局居ても立ってもいられなくなったユメはリビングを出て玄関に向かった。
(隠れて覗けば、いいよね……)
玄関が近くなり話し声が聞こえてきた。
トランクスが言っていた通り、複数の人の声。
男の人も、女の人もいるようだ。――そして、子供独特の高い声。
(子供……?)
玄関への曲がり角に差し掛かり、ユメはそこから恐る恐る顔を覗かせる。
トランクスとブルマの後姿が見えた。
そして……、
「あっ!」
思わず声が出てしまっていた。
ユメのその声に、玄関にいた全員の視線がこちらに集中する。
「あ~っ! おねえちゃん!!」
こちらを指差す笑顔の女の子。
「リィナちゃん!?」
――そう、そこにいたのは、なんとあの遊園地で出会ったリィナちゃんだった。