Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第4章 ★クリームよりも甘く《花巻 貴大》
とろん、とした意識。重たい瞼(まぶた)を無理矢理開くと、貴くんが眠っていた。ついでに言うと、腕枕。起こさないように、と体勢を変えると、貴くんが唸った。
「んぅ…ん、あ、起きた?」
寝起きの掠れた低い声。カッコいい、と思う私は、たぶん重症なのだ。
『うん、今ね。重くない、コレ?』
「いや、平気」
微笑む彼の胸元にぎゅうっとしがみつく。トクトクと心臓の音がする。私は貴くんの心音が好きだ。聞いているだけで落ち着く。
『ねぇ、貴くん』
「ん?」
『私ね、貴くんのこといっぱい困らせちゃう。嫉妬だってするよ、でもね。貴くんのこと好きでいていいかな…?』
「勿論。俺も海宙のことずっと好きでいたい。ずっと隣にいたい」
『…んふふ、うれし』
情事後の甘ぁいヒトトキ。これも好き、たくさん甘えられるから。
将来とか、仕事とか、イロイロ考えなくちゃいけない。それでも、今だけは。
優しい彼と、特別な時間を。
とろけるクリームみたいに甘い時間を。
深く交わした口付けは、どんなシュークリームよりも甘い、恋の味。
END.