Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第11章 七夕lovers《チーム烏野》
すぐに離れた月島のそれ。思っていたよりも柔らかかった。
「あーっ!?キスしてるー!?」
「ジーザス、神よッ!」
「シーっ、お前らうるせえ!」
「つつつつつツッキーっ!?」
向こうからはぎゃーすかぴーすか、騒ぐ声。目の前の月島は、やっぱり冷静だった。
『つ、きしま…///』
「そんなに蕩けたアホみたいな顔してるなら、また襲いますよ?」
『………良いよ。月島なら、良いよ』
月島が驚いたような顔をする。私もつられて驚く。当然だ、自分だってそんなことを言うとは思ってないんだもの。
「先輩、それ本気で言ってますか?」
『分かんない。でもキスされても不快感は無かったし、むしろもう1回した…んぅ!?』
全部言い終わる前に口を塞がれた。それはやっぱり月島の唇で。さっきよりも長く合わさった唇。離れた後も、彼の体温が残ってるみたいで、ドキドキ。心臓が今頃鳴り出す。
「そこまで言うなら、逃がしませんよ?」
『うん。月島なら、良いかもしれない…』
「じゃあ、付き合ってください」
『うん、良いよ』
えーっ、と向こうからは大合唱。山口がキョドってて、日向が失神しかけてるけど、そんなの気にしない。
好きだって気付いたんだ。
この気持ちは、止められない。
『ねぇ、月島』
「なんですか?」
『部活終わったら、一緒に帰ろ。それで、一緒に七夕お祝いしようね』
「先輩がしたいなら、幾らでも」
滅多に見せない純粋な笑顔を見せて、彼は練習に戻っていった。
その後ろ姿を見詰め、ニヤけが止まらない。
ああ、こんなにも好きだったんだ。
気付いた瞬間溢れる想い。
織姫と彦星も、きっとそうだったんだね?
明るい昼でも星は瞬いている。
開けられたドアから覗く青い空に、
私はニッコリと、笑い掛けた。
月島 蛍END.