第13章 Festival4
差し入れで大量のエナジードリンクが楽屋に運ばれる。
「月島あやめさんから差し入れです。」
「翼を授けてくれるモノですよー。」
そう言って、隅のテーブルに手書きのメッセージが置かれた。
『キラフェス初日お疲れさまです。』
『ファイナルも楽しんで下さいね。』
「えー。あやめ、帰っちゃったの?」
「薄情なヤツだな。」
「俺も会いたかったなー。」
「僕も~。」
「大人気だな。」
次々と声が上がる。
あやめちゃん人気者~。
俺は、楽屋を出ようとしたスタッフを呼び止める。
「ね?あやめちゃんに会った?」
「あ。はい。」
「あのさ。あやめちゃん。何色のアクセサリー付けてた?」
「えっと……赤いピアスしてましたよ?」
「え!?本当に!?」
「入野さん良かったですね。」
そう言って、仕事に戻っていった。
そんなに分かり易い顔してたのかな…。
ちょっと恥ずかしいかも。
『赤いピアスしてましたよ。』
頭の中で何度も繰り返す。
口元が自然と緩む。
「よっしゃーーーー!!!!!」
大声を上げて、ガッツポーズ!
「何?自由うるさいよ。」
「無駄にデカイ声出すなよな。」
「若いから元気だねー。」
「あの人疲れないのかな。」
「何なんでしょう。あの人。」
どんなに冷たい視線を送られても気にしない。
だって気分が良いからね。
ポンッと投げられたエナジードリンクを片手で受け取り鼻歌交じりに楽屋を出た。