第48章 Final
POPな曲から始まり、ダンスナンバー。
トークに、バラード。
今まで歌ったソロ曲。
全ての曲を歌い終えて、2時間半の夢のような時間は過ぎていった。
一度ステージを降りると、すぐにアンコールが響き渡る。
涙が浮かぶ。
「あやめ…このアンコールが最後よ。」
マネージャーが背中を擦る。
「さぁ。早く着替えて、皆の元に戻らないと。」
「はい…」
汗が滴る肌を拭き取り、用意された衣装に袖を通す。
鏡の前に座るとメイクさんに囲まれ、髪とメイクを直して貰った。
耳には、キラキラ輝くピアス。
視線を落とせば、リングピローに乗った結婚指輪。
それを手に取り、左の薬指にはめる。
一度、その指輪に唇を落として、その上から真っ白の手袋を付ける。
「さぁ。最後よ。楽しんできなさい。」
ポンッと背中を押された。
「はい。行ってきます。」
私はステージに上がる階段を駆け上った。