第46章 andante
公園のベンチに座り、日が落ち始め藍色に染まる空を眺める。
色違いのスマホを2台手に持ち、ため息を付く。
「自由って忘れ物多いんだよね…」
「でも…スマホ忘れるなんて…」
「心配じゃないのかな?」
目の前の噴水の縁には、男女が寄り添い座り仲良さ気に話している。
良いな…
自由…早く来ないかな。
ベンチの背もたれに寄り掛かり、足をパタパタさせて少しむくんだ足を動かす。
アフレコは、立ちっぱなしが多いし。
ラジオは、座ったままが多い。
同じ姿勢だと足も腰もガッチガチ。
「うーん」っと大きく伸びをして、凝り固まった体を伸ばした。
自分が通った方向を眺めると見慣れた人影を見つけた。
自然と顔がほころぶの。
少しおっちょこちょいだけど、頼りになって。
でも泣き虫で。
いつも私の手を引いてくれる。
私の大切な人。
これからも貴方と共に歩いて行きたい。
最近、より強くそう思うの。