第46章 andante
待ち合わせした公園に足早に向かう。
何でスマホ忘れるのかな…
自分が嫌になる。
タクシーを降りて、数分。
いつの間にか小走りになる。
視線の先に見つけた花屋さん。
店先には、ダークレッドのバラの花。
数年前の駅での出来事を思い出す。
一緒に歩くようになって2年。
共に過ごすことが当たり前になってきた。
沢山笑ったし、沢山泣いた。
俺もあやめちゃんも器用ではないから、うまく気持ちが伝わらないことも多々。
喧嘩も沢山したし、何度も何度も離れる選択肢も出たが…
それでも、ずっと一緒に歩いてきた。
ゆっくりゆっくり一歩一歩。
暗闇だって、二人で歩けば怖くない。
そう思うんだ。
これからもキミの隣を歩いて行きたい。
心の底からそう思うんだ。
「すみません。」
「花束にして貰えますか?」
「大切な……贈り物なんです。」