第45章 heat(裏)
最奥に感じた衝撃と圧迫感。
抱き合った肌は互いの汗で、ベットリと濡れる。
重なる息は、まだ熱を帯びている。
それだけで余韻に浸るには十分。
背中に回した腕を軽く動かし、背中に滲む汗を拭う。
大きく息を吐いて、重なった肌が離れた。
間を抜ける微かな風が汗で濡れた肌を撫でる。
「抜くよ…」
ズルッと引き抜かれると、それと同時に何かが肌を伝う。
「結構出しちゃったな…」
ベッドサイドのBOXティッシュから、数枚引き抜き拭き取られる。
力が抜け脱力する体。
思うように動けない。
そんな体を自由が引き寄せる。
汗ばんだ胸元に抱かれて、髪を撫でてくれた。
「ねぇ…」
「あやめちゃん?」
「…今もピル飲んでるの?」
「うん。そうだけど。」
少し顔を上げて、表情を覗うと一度顔を背ける自由。
「あのさ。」
「もう…他の人とはしないで欲しい。」
体を傾け、今度は私の顔を覗き込む。
「え?」
鼻が触れそうな位置まで顔を寄せ、真剣な眼差しを向けてくる。
「俺はあやめちゃんが好きだよ。」
「これから先、一緒に歩いていきたいんだ。」
「俺だけって訳には行かないかな?」
今にも泣き出しそうな潤んだ瞳。
「自由…」
頬に掛かる髪を耳に掛けて、頬を撫でる。
「不安にさせてごめんなさい。」
「私…今までの人とは、もうそう言う関係は解消したの。」
「今は自由だけ…」
「信じて貰えないかな?」
私は今、どんな顔をしてるのかな。
信じて貰えないことを今までしてきたんだから自業自得。
「ごめんね。今まで酷い事してきたのにね。」
頬に触れていた手を離す。
「あやめちゃん…」
「俺…だけ?」
離した手を握られ、キスをされた。
「そう…私が好きなのは自由だから」
「ねぇ?自由…私と付き合っ」
「あやめちゃん!待って。」
握られた手に力を込められ、言いたかった言葉を遮られる。
「え……どうして言わせてくれないの…?」
「嫌いになった?」
「違うよ。俺はあやめちゃんが好き。」
「だから、俺が言いたいの。」
「順番は、グチャグチャだったけど…」
瞬きをした瞬間に頬を伝う涙。
「俺の彼女になってくれませんか?」
震える声に胸が締め付けられる。
「はい…お願いします。」