第41章 night scape
抱き締めたあやめは、あの頃と何も変わらない。
小さくて今にも壊れてしまいそう。
キミと離れてからずっと言いたかった言葉。
「本当に好きだったんだ。」
「ごめんな。」
「それから…ありがとうあやめ。」
「これからは先に進めるかな?」
小さく頷くあやめ。
良かった…。
俺に出来ることは、これくらい。
あやめ?
少しだけでも背中を押せたかな?
キミは立ち止まらないで進んで。
俺はもう少し…
もう少しだけ、ここからキミを見てることにするよ。
キミの事が今でも好きだよ。
あやめを抱きしめながら、視線を上げる。
直ぐ近くには輝くレインボーブリッジ。
沢山の高層ビルが煌めく世界を創り出す。
遠くに瞬くオレンジ色の東京タワー。
てっぺんは、雲に埋もれて見えないけれど、ボウッと周りを幻想的に照らす。
星は見えない。
でも、ここには地上に広がる満点の星空。
覚えた星座は、ここには無いけれど。
これからも俺はキミの為に覚えた星座を忘れることは無いと思う。
キミの幸せをここから祈ってるよ。
幸せになってね。