第40章 piece
「あやめちゃんと同じ…。」
自由から、この言葉を聞いて確信した。
薄々は気付いてた。
リハーサルで耳にした自由の好きな人の存在。
差入れのエナジードリンクを嬉しそうに受け取る姿。
時折見掛けたスタジオで話す二人の後ろ姿。
その時の自由の視線の意味。
あの頃、俺が立ち止まらせたあやめの手を引いてくれる。
一緒に歩けるのは、きっと自由なんだ。
多分、あやめは俺の事なんて話さない。
誰にでもそうだったんだろう。
数年ぶりに話したあやめは、あの頃と変わらない。
玄関でうずくまって、泣いていたあの頃と何も。
俺が立ち止まらせた。
だから、その責任は俺が取らないと。