第5章 片想い
「あやめさん。お疲れさまです。」
「あっ…お疲れさま…。」
不意に掛けられた声に胸が痛くなる。
出会ってから数年。
カレは、どんどん大人の男性の色気を放ってくる。
背は高くなり、『可愛い』から『カッコイイ』に変化する。
「どうしたんですか?」
顔を覗き込まれて、顔が一気に熱くなる。
「なっ何でも無い!」
「顔が赤いですよ?熱でもあるんじゃ無いですか?」
そう言って私の首筋に手の甲を付ける。
「!」
「あっ。すみません!」
「額より首の方が体温って分かりやすいって母がよくやってくれてたので…」