第32章 bifurcation
泣き崩れるあやめちゃんの背中を撫で、なだめる。
「俺は、あやめちゃんが好き。」
「あやめちゃんにも伝えてあります。」
「どんなに胸の中で想っていても、行動に起こせない人には譲れませんよ?」
中村さんとノブを交互に見る。
あやめちゃんの相手は、多分この二人のどっちか…。
でも、そんな事関係ない。
俺が守りたいのは一人だけだから。
肩を抱き、耳元で囁く。
「あやめちゃんが誰を好きでも構わない。」
「俺はあやめちゃんを守りたい。」
「それだけ。」
「行こう…あやめちゃん。」
一歩一歩歩みを進める。
「入野さん!」
「キミも、もう関わらないで。」
「俺のことならバラしても構わないけど、あやめちゃんの変な噂でも流したら…」
「許さねーからな。」
火種を睨み、一瞥する。
あやめちゃん。
キミを絶対に守るから。