第23章 remember
キラフェスの楽屋に運ばれた大量のエナジードリンク。
「月島あやめさんから差し入れです。」
「翼を授けてくれるモノですよー。」
そう言って、隅のテーブルに手書きのメッセージが置かれた。
『キラフェス初日お疲れさまです。』
『ファイナルも楽しんで下さいね。』
懐かしい筆跡。
相変わらず可愛い字だこと。
緩んだ口元をバレないように右手で隠す。
「えー。あやめ、帰っちゃったの?」
「薄情なヤツだな。」
「俺も会いたかったなー。」
「僕も~。」
「本当に大人気」
ポツリと呟く。
「ん?良平?どうかした?」
「いや。何でも無いですよ。神谷さん。」
「そう?」
ポンポンっと肩を叩いて、神谷さんは手に持ったエナジードリンクを俺の掌にのせる。
『月島あやめ』
数年前まで同棲してた彼女。
一緒に暮らしてたのは勿論、付き合っていたのすら知っている人は少ない。
数少ない中の一人…。
神谷さん。
そう言えば、何で神谷さんは知ってるんだろう。
まぁ、どうでも良い事だけど。
あやめ…
キミは、今幸せ?