第4章 reading
「あやめさ~ん!」
声のする方に振り向く。
「翔太くん!おはよう。」
人懐っこい笑顔でブンブン手を振る姿が可愛い。
「これから、よろしくお願いしますね!」
「こちらこそ、よろしくね。」
「私…朗読歴浅いから…その点、翔太くんは先輩になるのかな?」
「もう!止めてくださいよ!」
困ったように眉を寄せ、顔を横に振る。
「おいおい。何か楽しそうだな?」
首元に腕を絡めて、耳元で囁かれる。
「中村さん!」
「もう…急にその良い声は心臓に悪いです…」
「あはは。サービスしてやったのに。」
「事務所の後輩にサービスしてどうするんですか…」
「そろそろ重いので…腕を外して頂けると嬉しいんですが。」
「遠慮するなよ?」
「こらこら。悠一くん。離してあげなさいよ。」
「井上さん!」
渋い声の主は井上和彦さん。
この四名が今回の朗読劇のキャストだ。
中村悠一さん。
井上和彦さん。
蒼井翔太くん。
月島あやめ。
どんな世界に旅立てるのか楽しみすぎて心が躍る。