第2章 ほんとは真面目な彼
すると、その人が口を開く。
「プリンセス…良かったね…プリンセス…」
「えっ…その話し方って…。」
チュッ
いきなり私の唇にキスをしてきた。
「!?」
「レオからの預かりもの。」
と言うと、その人はニッと笑う。
「コレだけはスマホでも何でも
届けられないからってさ。
キザだよねー。」
といって笑いながら話を続ける。
「レオにされたときは
ちょっと嫌だったけど、
プリンセスにキスできたからまぁいいや!」
そういうとその人はイスから立ち上がり、
「じゃあね!確かに届けたから!
ご飯たくさん食べてよ!」
と言って踵を返す。
「まっ待って…!」
その人の腕を掴んでグイッと引っ張る。
そして倒れ込んできたその人の唇に
チュッとキスをする。
「これ、レオに届けて。」
私は微笑む。
その人は真っ赤な顔をして、口に手を当てる。
「…う、うん。」
さらに私は
「嫌かも知れないけど、よろしくね。」
とちょっと笑いながらお願いする。
するとその人は
顔を上にあげて目を片手で覆うと、
「はぁー…プリンセスには敵わないや!」
と言った。
「わかったよ!確かにとどけるから!
じゃ!」
そういうと
バルコニーに勢いよく走っていき
手すりに足を掛けたかと思うと、
そのまま飛び降りた。
「え…!?」
しばらくすると少し離れた空に赤い姿が見えた。
私は胸を撫で下ろして、見えなくなるまでその姿をずっと見つめていた。
~おわり♪~