第8章 探す彼
男の子の手を引いてやって来たのは
私の部屋。
「ほら、あそこ。
疲れてるみたいだから静かにしてあげ…」
振り返るとそこには
男の子はいなかった…
「あれ…?」
そのとき…
「ん…」
ベッドで寝ていたルイが体を起こす。
「あれ?シャル?」
ルイの笑い周りを
嬉しそうに飛び回るシャルがいた。
「あ、アヤセもなんで
そんなところにいるの?」
「今…男の子が…けど…」
ビックリして言葉が続かない。
「あれ?シャル、バニラ香りがする。
あのキャンディでも嘗めたのか?」
(え?もしかして…)
気になったけれど
ルイとシャルの姿を見ていたら
いろいろどうでもよくなってしまった。
ベッドサイドに腰を下ろす。
「ねえ、ルイ…」
微笑みながら話しかける。
「何?」
「私の部屋に来てくれるのも嬉しいけど、
たまにはハワード邸にも帰ってね。」
「ん?ああ…何かあった?」
「あんまりおうちを空けたら
寂しがるでしょ?」
「…シャルのこと?」
「うん。」
「そうだな…
そのときはアヤセも一緒に。」
ルイがふわりと微笑む。
「……それでもいい?シャル?」
シャルに訊ねると
しぶしぶといった様子で羽を震わせた。
おわり♪