第1章 的場さんと私(1)
「、服を脱いでください」
「・・・随分と大胆な誘い方ですね」
「いえいえ、今日は違いますよ。こちらに着替えて頂きたいだけです」
的場が手に持っている着物は、明らかに女物。
今まで式や、人間のフリをして的場のサポートをしたことはあるが、女のフリをしたことはない。
「・・・どういった理由で?」
恐る恐る聞いてみるが的場は不敵な笑みを浮かべるだけで、
「これからちょっとした集会がね・・・」
と軽く流された。
「キツいですか?」
「少し・・・」
一口に着物と言っても女物の着物だ。
的場は慣れないヒロを手伝い、腰に腕を回しながら帯を巻いていく。
「んっ・・・」
帯を締める度に、的場の耳元では自然との吐息が漏れた。
無意識だろうか・・・いや、無意識だ。
的場は直感的にそう思った。