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びゅーてぃふる ❦ ふれぐらんす【気象系BL】

第3章 飴玉本舗✡摩訶不思議堂


シンと静まり返った部屋
電気を点ける気にもなれなくてベッドに凭れ掛かった
暗闇の中に居ると
世界中でたった一人ぼっちになったみたいだ


「潤くん…」


俺は確かに、潤くんと出会って
恋に落ちた
潤くんもまた俺を好きになってくれて
そう、ごく自然に身体を重ねた

こんなにも人を好きになったのは初めてだった
守りたいと思った
大切に…ずっと、大切にしていきたいって……

時空を超えた俺達の恋
それは紛れもない事実で


「事実…だよね…?」






怖くなった
すべてが夢物語でしたなんて
そんな結末、ある訳がないんだ
慌ててスマホの電源を入れ、ギャラリーを開いた




「なん…で……」




帰り際
二人を収めた筈の、あの写メの中
潤くんだけが写って居なかった


「嘘だ… 嘘だよ!
なんで! なんで潤くんだけが写ってないんだよっ…!
二人で撮ったじゃんか!
何処行っちゃったんだよ! ふざけんなよ!
無かったことになんか…今更、出来るかよ…!」


こんな事ならせめて
『好き』よりも深い想いを言葉にして伝えておけばよかった
『愛してる』って
『潤くんを愛してる』って
ちゃんとそう言えばよかった

確かに覚えているんだ
潤くんの声も
笑顔も
温もりも
作ってくれたご飯の味だって…
それに、出掛ける前にしていたシルバーブレス


『これ、次に会う時まで潤くんが持ってて』

『いいの…?』

『暫く会えないし連絡も取れないから…
これ見て、俺を思い出して?』

『そっか、連絡も取れないんだ…
でも嬉しい…ありがとう、雅紀さん』



『離れててもずっと一緒って感じだね
これがあれば寂しくないよ』

『ずっと一緒だよ?』

『えっ…?』

『3週間後からは
ずっと一緒に居られるから』

『ホント…?』

『ホント』

『嘘じゃない…?』

『嘘じゃないよ』

『嬉しい…!』


無くなっているのは
それが夢物語なんかじゃない証拠だ

それなのに、どうして…
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