第2章 バーチャルな君と僕
❦智Side❦
カラオケBOXのバイトを終えると
途中で寄ったコンビニの袋を自転車にぶら下げて
僕は帰路に着いた
「ただいま」
玄関にはオシャレな靴が
丁寧に端っこに寄せてある
そうか
今日は潤の家庭教師の日か
「あら、早かったのね?
夕飯要らないんじゃなかったの?」
「あー、買ってきたから」
母さんと話しながらリビングにチラリと目を向けると
弟の潤と家庭教師の櫻井さんが
楽しそうに夕飯を囲って談笑していた
「お帰り、兄貴」
「ただいま、潤」
「お帰りなさい、お兄さん
なんだかすみません、夕食までご馳走になってしまって」
「いや
潤がいつもお世話になってます」
櫻井さんが深々と頭を下げるから
なんだか居心地が悪くて
大学に提出するレポートを書かなきゃなんないから、と
足早に自分の部屋へと向かった
潤は僕とは違って頭の出来がイイ
志望している大学のレベルは
僕にとっては雲の上の…
そういや櫻井さんも
そこの大学行ってるって言ってたっけな…
格好良くて 爽やかで
頭が良くて 背も高い
そしてモテる
勝ち組の二人に比べて僕は
根暗
地味
頭の出来もイマイチ
背も低い
オマケに女の子に免疫が無い
「比べるんじゃなかった
マジ凹む…」
せめてもの悪足掻きでかけ始めた伊達メガネは
余計に僕の印象を根暗に見せているのか?
「現実逃避すっかな…」
パソコンの電源をONにすると
僕は買ってきたアジフライ弁当に齧り付いた