第49章 さくら、ひらひら。
ーーーーーー
『リエーフ、鍵持った?』
「大丈夫っす!」
『忘れ物ない?』
「ないっす。美優さんは大丈夫ですか?」
『あ、書類!机の上!』
「もー。俺のことより自分のこと心配してください!」
『ごめん、取ってくる!』
部屋に向かうと書類を持ち、最後の確認。
あとは、鏡に映る自分の確認。
濃紺のジャケットにお揃いのタイトスカート。
髪の毛も後ろで束ねて…っと。
よし!大丈夫。
黒の飾り気のないパンプスを履くと、玄関で待機しているリエーフに目配せ。
『もう大丈夫。』
家の鍵をかけ、さあ出発!
「美優さん今日は何時になりそうですか?」
『今日は入学式だけだから夕方…4時くらいには帰れると思うよ?夕飯作って待ってる。』
「じゃあ今日はカレーがいいです!」
『おっけー。じゃあ作って待ってる。』
「美優さん。」
『ん?何?リエーフ。』
リエーフの方を向けば、近づく顔。
ふにっと柔らかい感触。
「へへっ!いってらっしゃい!美優さん。」
メイクが落ちるとか、通勤通学時間で周りに人がいるとか、色々言わなきゃいけないことはある…
けれど、ニコニコ笑うリエーフを見たらどうでもよくなる。
『リエーフも学校、いってらっしゃい。』
いつもにこにこ。
まっすぐ一直線。
好きなものにはいつも全力。
そんな私のわんこな彼氏。
灰羽リエーフ。
そして私、椎名美優は、
今日も元気です!
end