第35章 ねことふくろう〜代表決定戦1試合目〜
2セット目。
護りの音駒の本領発揮とばかりにボールを繋ぐ。
山本がスパイクを決める頃には梟谷の得点を上回っていた。
あかねちゃんの応援にも力が入る。
「きゃーっ♡すっごい音したね!
あかねちゃんのお兄ちゃんすごいね!」
アリサさんが両手を合わせて喜ぶと、あかねちゃんは照れたように喋る。
「べっ、べつにっ!そこまでじゃないけどっ!
あれくらいやってくれなきゃエースって言えないしっ!」
私とアリサさんは顔を見合わせにこりと微笑む。
「あかねちゃんかわいい♡」
『ですね?』
ピーー!
長めのホイッスル。
今回は梟谷のタイムアウト。
タイムアウトを挟んでも、音駒の調子は変わらない。
梟谷への返球のほとんどを赤葦に返すようにしているのを見ると、木兎に打たせないようにしているみたい。
木兎は気持ちの良いスパイクを1セットの時より打てていない。
それでも他のメンバー、木葉くんのトスも綺麗に上がるし猿杙くんのスパイクもきまっていく。
そんな中、アリサさんが長い溜息を吐く。
「梟谷も上手だね…!」
それを聞いたあかねちゃん。
「でも、確実に木兎君を捉えてきてるよ。」
「確かに最初みたいにバシバシ決められるのが少なくなった?」
「音駒の守備には穴が無いの。
性格には徐々に穴を潰して整えて行く感じ。」
「打っても打っても拾われる。」
「そして、地上(フロアディフェンス)を意識しすぎれば壁(ブロック)に捕まるっ!」
その言葉通り、いくらスパイクを打とうとしてもやっくんたちに捕まる。
守備を避けスパイクを打とうと飛んだ木兎はながら今度はクロのブロックに掴まる。
悔しそうな木兎の顔。
これはいける気がする!
そう、思った時だった。
ピーー!
タイムアウトを告げるホイッスルが鳴った。