第31章 たたかい。
春高予選、前々日。そして私の試験前々日。
なぜか私は放課後の体育館に来ていた。
『リエーフのバカ…』
事の発端はお昼。いつものように私の教室でお昼を一緒に食べるリエーフ。
「やっぱり美優さんのご飯はうまい!」
『なにその…やっぱりパンがうまい!的な…』
「…それなんすか?」
『ううん…こっちの話。』
本当…可愛いなぁ…リエーフ。最初はすごくまとわりつく大型犬くらいにしか見てなかったのに…最近は居ないことに違和感を感じるくらいずっと一緒だなぁ。
リエーフの半分の量で作ったお弁当を食べ終えた私はふうと一息吐くと最後の一口を咀嚼するリエーフを見る。
『…あ』
ほっぺにご飯粒。不思議そうに首をかしげ、こっちを見るリエーフの顔に手を伸ばしご飯粒を取る。
『ついてた。』
そう言い食べようとするとリエーフはご飯粒を持った私の指をぱくりと指に含んだ。
『ここっ!教室!』
「別にいいじゃないですか。」
そう言って笑った顔はいつもの太陽みたいな笑い方じゃなく、大人っぽい笑み。
どきり、と心臓が高鳴る。
いつ見ても慣れない。
リエーフの表情にドキドキして
息をするのも苦しいくらいリエーフが好き。
「…さん?美優さん?」
ふと気がつくとリエーフが心配そうに私を見ていた。
『なにっ?』
「今の話…聞いてました?」
ぶーと口を尖らせ拗ねるリエーフ。その仕草も可愛い。
けど今はそうじゃなくて…
『ごめん…ぼーっとしてて聞いてなかった…』
「どうせ、俺に見とれてたんでしょー!」
…自信満々。実際そうだけど、それ言ったらリエーフ調子乗っちゃうし、言ってあげない。
『そんなことありません!…で?何?』
うまーく話をそらし、話しかけられた内容を問うた。
「あ!明日って弁当どうするんすか?」
明日のお弁当か。何にも考えてなかったな…
そう伝えるとリエーフはにこり。
「俺、カツ丼食いたいっす!」
『………は?』