第3章 3vs3
「みなみ先生っ!!見て見て!」
日向がみなみさんのもとに駆け寄り、くるりと背を向ける。「じゃーん!」と、早速新しいジャージと背中の文字を披露した。
「ふふふ、日向君のジャージ姿、似合ってるね。バレー部の一員って感じ!」
「ホントですか!?俺、ちゃんとバレー部って感じする!?」
「するする!」
晴れて入部を果たした日向に、彼女も嬉しそうだ。俺なんかより、日向とみなみさんの方が仲の良い姉弟って感じなんだけどなぁ…。それにいつの間にか打ち解けてるし。
「どーしたんスか、スガさん。難しい顔して」
「えっ!?い、いや別に…」
騒ぐ新入部員たちに、パンパン、と手を打って大地が指示を出す。
「おし、じゃあ残り時間、通常練習やるぞー!」
「あ、じゃあ私はこれで―――」
「あれ、みなみ先生帰っちゃうんですか?」
「コラコラ日向、先生だって忙しいんだから…」
名残惜しそうに引き止める日向を、大地が静止する。苦笑しながらみなみさんが言った。
「ごめんね、少しだけやることが残ってるの。でも、武田先生は顔を出すと思うよ。さっき職員室に来てたから」
「それじゃあ、頑張ってね」とペコリとお辞儀をする。大地の掛け声とともに、みんなが挨拶をした。小さく手を振って出ていくみなみさんに、俺はこっそり尋ねた。
「何時までやってんの?仕事」
「え…?うーんと…大体6時くらいまでかな…」
「リョーカイッ!」
土曜の練習は遅くても5時には終わる。うまく行けば、帰るタイミングを合わせられるかもしれない。「どうかした?」と小首を傾げるみなみさんに俺はただ笑顔で「いーや。そっちもガンバレ」と答え、みんなのもとへ走った。