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君への5センチメートル【ハイキュー!!】

第8章 Coffee Breakをしよう②


東峰さんと西谷さんがバレー部に復帰し、新しく烏養コーチが加わってから一週間後。

今日はゴールデンウィーク合宿の初日。僕らは普段通り学校の授業と部活を終えて、その足で合宿所へとやって来た。烏野高校が所有する合宿用施設の一つで、主に運動部が合同で利用する。建てられてからかなり年数が経っているのか、外観は今にも潰れそうな古臭い感じでげんなりしたけど、中は改修されたらしく案外キレイだ。こじんまりしたタイル張りの風呂場も、ご丁寧に男女別々にしつらえてあった。

風呂と食事を済ませてようやく落ち着いた今、急に一日の疲れがずっしりとのしかかってくる。世間は明日からゴールデンウィークだというのに、僕らは文字通り〈朝から晩までバレー漬けの4日間〉を過ごすことになる、というわけだ。

「はぁ……」

「どーしたの、ツッキー?」

「…別に。疲れただけ」

「だよね〜。朝から授業で、その後は練習もあったし、ココまでの移動もあったし…」

布団の上にあぐらをかいていた山口が、ぐいぐいと肩を揉む。

いつもなら、家に帰って夕食をとり、ゆっくりシャワーを浴びて、音楽でも流しながら部屋でのんびりしている時間帯だ。それが今回のような集団行動となると、嫌でも周りに合わせざるを得なくなる。しかも僕らみたいな下っ端は、食事の片付けだって任されるし、風呂も最後だし、その上使った後の掃除だってやらされる。当番制とはいえ、やはり一番負担が大きいのは下級生になるわけだ。仕方ないとは言え、こんな風に自分のペースが乱されるのは、昔からあまり好きじゃない。

こんな時はさっさと寝てしまうに限る。

僕は明日の着替えを枕元に出して、スマホのアラームをセットし、自分の寝床のシーツを整えて言った。

「じゃあ、僕は先に寝るんで。おやすみなさ…」

「おい、翔陽!合宿の夜の醍醐味といえば、ズバリなんだと思う!?」

僕の声は、元気の有り余った西谷さんの大声にかき消された。問いかけられた日向が、目を輝かせて答える。

「なんですか…!?枕投げとか…!?」

「ふふふふ…甘いな翔陽…。合宿の夜、しかも男ばっかと来た。それなら男子トークしかねぇだろ!!」

「ふぉぉぉぉぉ!!」

何それ…女子トークなら聞いたことあるけど、男子トークって…。むさい男同士で語り合って何が楽しいのさ…。
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