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イケメンたち

第1章 色男誘惑上手


BARでひとり失恋の傷心をアルコールで一瞬でも忘れようと努力している。

心の痛みと孤独はどこにも行く気配はみせず身体の中にずつと留まったそれはわけのわからない焦燥感に変えていった。

焦燥感を感じさせまいとまたひとくちアルコールを流しこもうとグラスを口に近づけた。

「それ以上飲むのはやめたら?」

誰かの手が横入りしてグラスの持つ手を押さえた。

手の主に視線を向けるとそこにはひとりの男性が立っていた。

肩まであるアッシュミルクティーの髪。
結構な角度で頭を上げて彼を見つめている所から考えて身長は180センチ以上はあるだろう。
男前というより綺麗という言葉が似合う容姿。
上下セットアップの明るいグレーのジャケットとパンツ姿。

ちょっと待ってどストライクすぎるんですけど・・・

「君、見た感じお酒は強くなさそうだけど、そんなに飲んでなにかあったの?」

「ん〜、さっき彼氏にフラれて・・・」

「キミみたいな女性がまたなんで?」

横に座ってもいいかな?と彼は横に座ると私の方に向き直した。

わあ!どうやら私の話を聞いてくれるみたい。

それから彼との出会いから別れまでながながとはなしてそれを彼は親身になって聞いてくれた。

「あの、ほんとこんな話を聞いてくれてありがとう」
「おかげで、すごい楽になった!」

「それはよかった。送るよ」

「あ〜、ありがとう!でも、わたしまだ飲み足りないからもう少し飲んで帰る」

「ん〜、君が心配だな・・・」
「そういうことならここより美味しいお酒が飲めるいいところを知ってるんだけど、一緒に行くのはどう?おごるよ!」

「本当に?やった!」

私の心はうはうは。

彼が私の肩を自然に抱くとバーの出入り口まで誘導した。
リムジンであろう高級車の前にひとり男性が立っていてわたしたちが近づくとその男性は初めてまして、執事兼運転手の高城ですと自己紹介を済ませ車のドアを開けた。

どぎまぎしながらはじめて乗るリムジンは最高に心地よいものだった。

彼はというもの窓の外を眺め、ときおりこちらに視線を向けると口角を上げて微笑むだけで車内は静かだった。
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