第21章 猫王子と嫉妬
「僕はバスケが好きだよ。確かに勝つ事に喜びはもう感じなくなってしまったが、それでも続けているのはバスケが好きだから」
『赤司…』
「をWCに呼んだのだって、僕が好きなバスケを、僕がバスケをしている姿を見てほしかったからだ。そしてにも好きになってほしかった。…結局、嫌な思いをさせてしまったけどね」
『っ、そんな事ない!』
「…」
『そんな事ない。確かにあたしは赤司から、赤司のバスケから逃げた。けど嫌だなんて思ってない』
何をしているんだろう。あたしの勝手な勘違いで赤司を傷付けて、赤司にこんな顔をさせて。
『今度さ、大会があったらまた呼んでほしい。今度こそ、逃げずにちゃんと見るよ。赤司のバスケを』
「…あぁ。僕ものバレーを見に行くよ」
赤司はゆっくりとあたしを抱きしめた。抱きしめながらあたしの髪をゆっくりと梳いていく。くすぐったかったが、それ以上に心地良かった。
「それより」
『ん?』
「高尾の事は下の名前で呼んでるんだね」
『あぁ、そうだね。まぁ親友だし?』
「僕は彼氏だけど?」
『…だって赤司は赤司じゃん』
「答えになってない」
え、何こいつ。さっきまでのしおらしい感じはどこにいったわけ!?つーかいきなり強気!!!
「僕の名前、知ってる?」
『そりゃ知ってるでしょ』
「言ってみて?」
『赤司征十郎』
「そうじゃなくて」
多分赤司は自分の事も名前で呼んでほしいんだと思う。けど無理無理無理!!!赤司の事をせ、征じゅ…無理無理無理ぃぃぃぃ!!!!
『却下』
「それを却下」
『ムカつく!てかいい加減離せ!』
赤司はあたしを抱きしめたままだったのだ。