第20章 猫王子とウィンターカップ
赤司と付き合った事を奈央とはゆるに報告した。
奈央は涙を流し、自分の事のように喜んでくれた。
はゆるはあたしをギュッと抱きしめてただ一言、良かったねと言ってくれた。
そして2学期が終了した今、部活にも参加出来ないため、里帰りもかねて帰省していた。
春「よっ!久しぶりだな、」
『久しぶりだね、春。急に呼び出してごめんね』
春「いいっていいって!それより、大事な話、あるんだろ?」
東京に帰ってからすぐ、春を呼び出した。春にはちゃんと自分の口から伝えなければいけない。
『うん。あのね、春…あたし、赤司と付き合ったんだ』
春「…そっか。ま、そんな事だろーとは思ってたけどな!」
『…うん』
春「気にすんなって!東京と京都じゃどう考えても京都にいるアイツの方が有利だし、何よりが京都に行く前に自分の想いを伝えなかった俺が悪い。むしろ俺はアイツに感謝してるしな。アイツがいなかったら、俺はずっとに想いを伝えられないまま、後悔してたと思うから」
ま、絶対に赤司には言わねぇけどな!と笑う春を見て、あたしは涙が出そうになった。が、ここで泣くわけにはいかない。春が笑っているから。
春「、前より綺麗になったな。これも恋したおかげか」
『…何、前みたいに不細工とか言わないわけ?』
春「不細工がマシになったくらい?」
『よーしそこに土下座しろ!今ならそれで許してやる!』
あたしと春はどちらともなく笑い合った。
春「俺らには、これで十分なのかもしんねーな」
『春、春はあたしにとって何よりも大事な幼馴染だよ。それはずっと変わらない』
春「さんきゅーな、。赤司と幸せになれよ」
『…春もな!』
春と別れて、少しだけ泣いた。きっと春も今頃は泣いているだろう。昔から春は、泣く時には両手をギュッと握る癖がある。
今回もそうだった。
春のためにも、あたしは幸せにならなきゃいけない。
その足で、ウィンターカップが行われる体育館へと歩いた。