第19章 猫王子と誕生日
髪も乾かし、赤司と同じベッドに入る。前とは違い、今度は最初から。
赤司はベッドに入るとすぐにあたしを抱きしめてきた。何だか赤ちゃんみたいで可愛い。
『赤司ってこんなんだったっけ?』
「こんなにも好きにさせたが悪いんだ」
『あたしのせいかよ』
「…怖いんだ」
『怖い?夜が怖いわけ?何赤司、もしかしてお化けとか信じてるわけ?ブフッ、想像するだけで笑えた!』
「違う」
『こわっ!お化けより今の赤司の方が怖ぇよ!分かったから睨むのやめて!』
赤司の睨みは今でも変わらず怖かったです。ぶるっ
「そういう意味じゃなくて、目を閉じて眠って、次の日また目を開けた時、全部夢だったんじゃないかって思うと、怖くて仕方がないんだ」
『だからさ、夢じゃないって…』
「分かっている。けど、が僕の事を好きになってくれるなんて夢にも思っていなかったんだ。疑いたくもなるだろう」
『…あんなに自信満々だったのに?』
「あんなものただの強がりだ。自信なんてこれっぽっちも無かった」
意外だった。あの赤司が、そんな事を思っていたなんて。
『大丈夫だよ、赤司。あたしは赤司の前から消えたりしない。夢でしたなんて言わない』
「…あぁ」
『だから、ゆっくり寝て。赤司はもうすぐ大事な大会なんだし、夜更かしはパフォーマンスを低下させちゃうよ』
「…、キセキというモノを信じるかい?」
『キセキ、か…うん、信じるかも』
「僕も信じるよ。僕達は中学時代、キセキの世代なんて呼ばれたが、この時代に僕達天才が同時に集まったのはキセキだったかもしれない」
『おーいさりげなく自慢かコノヤロー』
「キセキと同時に、運命だとも感じた。キセキを信じる僕は、もちろん運命も信じる。そして、僕達の出会いも運命だったんじゃないかって思うんだ」
『…いつにも増して饒舌だね。眠いの?』
「…眠い」
『お喋りはいつでもできるからさ、今日はもう寝よう。おやすみ』
「おやすみ」
赤司はゆっくりと色の違う両目を閉じた。その間、さっきの赤司の言葉を思い出す。
『…運命、か。あたしも信じるよ。赤司と出会えたのは多分、運命だと思うから。大好きだよ、赤司』
「…僕もだよ、」
…コンニャロウ。狸根入りかコイツ。