第19章 猫王子と誕生日
入ってみてさらにびっくり。一般のお客様はすっげー金持ちそうな人ばかりだった。そんな中、あたしと赤司はすっげー浮きまくりなわけであって。
周りからの痛い視線を掻い潜って、赤司は道案内してくれているウェイターらしき人の背中を着いて歩く。
そして、案内されたのは、京都の夜の街がきれいに見える席だった。周りには、誰もいない。
『…ねぇ赤司君』
「何だい?」
『他のお客様はいずこへ?』
「客はいないよ。ここは僕達だけの貸切だからね」
『Be fagget out and is rich.(くたばれ金持ち)』
「Thank you for praise.(褒め言葉をありがとう)」
『褒めてねーよ!!!』
つーかまじ何様だよ赤司!あ、赤司様か。…じゃなくて!こんな高そうな店の一室を貸切!?やばい、やばいよコイツ…あたし好きになる相手間違えたか?
だけど、運ばれてくる料理はやっぱり凄く美味しくて、雑談をしながらゆっくりと味わった。料理の名前は全然わからなかったけど。
『すっげー美味しかった!』
「満足してくれたみたいで、僕も嬉しいよ」
『でも赤司、もうこれ限りだからな』
「…どういう意味だい?もう僕とは、食事に行けないということか?」
『違うから!だからそんなあからさまにシュンとすんな!あたしの心が痛いわ!…そうじゃなくてさ、もうこういう高級料理は一緒に行かないって事』
「…どうして?」
『あたし、こんなに美味しい料理は初めてだよ。出来るならまた食べてみたいっていう気持ちも少しはある』
「だったら…」
『だけど、あたしはたくさんのお金を払ってまで赤司とこういう店に来たいとは思わない。どうせお金を使うなら、安くたってもいい、手作りでもいい。その代わり、1回でも多く赤司とご飯を一緒に食べたい』
「…」
『だからs』
あたしの言葉は赤司が抱きしめた事によって塞がれた。その時にチラリと見えた赤司の顔は、真っ赤だった。