第12章 猫王子と体育祭
赤司side
そして最後の競技、学年別リレーが始まった。1組の作戦としては、足が遅い順に1番からという事で、スターターは一番足が遅い川崎だった。川崎や最初のメンバーでつけられた差はなかなか縮まることも無く、女子のアンカーであるの手にバトンが渡った時には、半周の差が付いていた。
奈央「いくらでも、これは抜けへんのんちゃう…」
女子生徒「それにはいっぱい走って疲れてるやろうし…」
男女各アンカーは半周ではなく1周走ることになっている。他のクラスのアンカーも実力者揃いで、圧倒的には不利に見える。
「大丈夫だ。あいつなら…なら僕の期待を裏切るような事はしないよ」
男子生徒「おぉっ!がグングン伸びてきたで!」
男子生徒「これならいけるんちゃう!?」
予想通り、は半周ほどあった他の選手の背中を完全に捉えていた。
『あっ…あか、しっ!』
「あぁ、よくやった。後は任せておけ」
僕はからバトンを受け取ると、バスケの試合以上に強く地面を蹴った。
放送「今、ゴールイン!!!素晴らしい!私、今凄く感動しています!こんな事があっていいのでしょうか!!!なんと1年1組、最後の2人で劇的レースを繰り広げました!」
『赤司っ!!!』
「ハァっハァっ……」
『赤司!!ありがとう!!本当にありがとう!!!』
走り終えた僕の元に、自分も疲れているであろうが一番に走って来てくれた。そして言わずもがな、思いっきり抱き着かれた。
男子生徒「ほんま、と赤司のおかげやで!これで球技大会、文化祭、体育祭の三冠達成や!!」
女子生徒「せや!2人がおったらホンマ心強いで!同じクラスになれて良かったわ!」
中学の頃はあまりこういう行事は好きではなかった。だが…
「…学園祭というのも悪くはないものだな」
『何言ってんの!お祭りだから楽しいに決まってるじゃん!わっ!!』
「のおかげだよ。ありがとう」
『え?何?聞こえない!』
「何でもないよ」
さっき思いっきり抱きしめたを、もう一度強く抱きしめた。そして体育祭は見事赤組の優勝で幕を閉じたのだった。