第11章 猫王子と文化祭
「…奈央ちゃんの事は正直そこら辺にいる女と変わりないって思ったッスよ。今までがそうだったし、皆モデルの黄瀬涼太と仲良くなりたいって子ばっかりだったから」
『…モデルも大変なんだねぇ』
「でも楽しいッスよ!そうだ、今度っちもどうッスか!?っち黙ってりゃ可愛いし、身長もそこそこあるからイケるッスyいだっ!!』
『黙ってりゃって何だよそこそこって何だよ!!!!頼まれても誰がやるか!つーか話逸れてるんだよ!!!』
勝手に話の腰を折った黄瀬涼太の黄色い頭を殴ってやった。イラッときたから結構強めで。
「…それでもっちの1番の友達がただのミーハーなわけないと思ったし、マネージャーって事は赤司っちも認めたわけだし、メールだけは返してたんス」
『つーか黄瀬涼太の中のあたしってどんだけ位高いんだよ。まだ1回しか話した事ないんだけど』
「それほどっちの魅力は大きいんスよ。奈央ちゃんは純粋に俺のバスケを褒めてくれたんス。他の女の子は顔だのモデルだのに群がってくるだけなのに。それがただ嬉しかったッス」
『…今の言葉、奈央は特別な存在って意味で受け取って良いんだよね?』
「いいッスよ。特別、って意味だとっちも入るんスけど」
『じゃあ何で奈央だけ違う呼び方なわけ?』
「認めはしたけど尊敬はしてない、って事っスかね?俺にもよく分かんないんスわ。けど…嫌いじゃない事は確かッスよ」
『…あっそ』
多分、黄瀬涼太の中では奈央はまだ頭1つ飛び出た程度であり、彼女としては見ていないだろう。それでも、嫌いじゃない。そして特別。この2つさえあれば、奈央にもチャンスはある。
「じゃあ俺からも質問!っちって好きな人、いるんスか?」
『お前は女子か!そんなウキウキ気分で男子に恋バナ持ちかけられたの初めてだよ!!』
「恋バナに男も女も関係ないッスよ!!で、どうッスか!?」
『残念だけどあたしは人生で一度も人を好きになったことはねーよ悪かったなバカ』
「一度も!?高校生なのに!?」
『うっせーよ殴られたいの?絞められたいの?両方ともしてほしいの?』
「全部嫌ッス!!!!!」
ちょっと本気っぽく言ってみれば、黄瀬涼太は顔を真っ青にして全力で拒否してきた。何コレ面白い。