第9章 猫王子といじめ
「負けるな、」
『…でも…でもここであたしが折れないと、次はどうなるか分かんないじゃん!バレー部が、友達が被害にあうかもしれないじゃん!』
「ならが守ればいい」
『…赤司はあたしを過大評価しすぎだよ。残念だけど、あたしはそんなに強くない』
「問題ない、は僕が守るからな」
『…は?』
「が辛いのなら、僕が守ろう。僕も一緒に戦う。だから、諦めるな」
『ちょ、ちょっと待ってよ!それじゃ赤司にも被害が出るかもしれないじゃん!』
「僕はいい。の力になれるなら、喜んで戦おう」
これは僕の本心。だけど、の言葉はの本心ではない。
「それに、ほどのバレーバカがシューズを消耗品なんかで片付けられるのか?」
『っ…それは…』
「きちんとお前の口から伝えろ。でなければバレーにも失礼だ」
『…あたしは…ひっく…あたしは!!!まだあのシューズと一緒に…バレー、したかった…ひっく…きちんと最後まで履いてあげたかった…』
「…泣きたいときは泣けばいい。僕が胸を貸してやる」
『…赤司…うわぁぁぁぁん!!!!!』
は以前と同じように泣いた。思いっきり泣いた。少し違ったのは、悔しさのためか、ずっと拳が握られていた事。
『…赤司…』
「…落ち着いたか」
『うん。…ねぇ赤司』
「なんだ」
『お願いがあるの』
もう大丈夫だろう。の目には再び、強い光で溢れていた。
『一緒に犯人を、捜してほしい』
「もちろんだよ」