第12章 温泉旅行へ*1日目昼編*R15
「……んッ…!」
唇が塞がれて、ようやく口づけられていることに気付く。光秀の胸を押し返したいけれど、押さえつけられたままの手は動かせない。
やっと光秀の手が離れたと思ったら、身体ごと強く抱きすくめられた。動かないよう顎に添えられた手が、桜の唇を押し開いて、そこから舌が侵入してくる。
「ぅ… んん…」
光秀の舌が少し乱暴に桜の口内を犯していく。舌を絡めとられて強く吸われ、息が出来ずに目が潤む。
「んぅ…っ…はぁっ」
光秀の唇が離れていっても、酸欠で頭がぼんやりして思考が追い付かない。口づけで力が抜けた体は川にすっかり浸かってしまった。着物はもはや、びっしょりと水を吸っている。
肩で息をする桜の顔を満足げに見て、桜の耳元で光秀が囁く。
「気持ち、良かったか?」
「…っ…」
耳にかかる吐息と、甘い声と。その声に思い知らされる恥ずかしさに、返事も出来ずにただ顔を赤く染める。
「どうだったのか言わないのなら…言いたくなるまで続けるぞ」
どこまで、意地悪なんだろう…。
「き、もち…よかった…です」
振り絞るようにして出した声に、光秀がにやりと笑う。
「ちゃんと言えたな…次は褒美だ…」
「えっ、ちょっと…っん…!!」
抗議はむなしく却下され。桜が解放される頃には、すっかり身体が冷えてしまっていた…。