第57章 支え
思い出せ。
普段の木兎さんの行動を。
気合いの入った木兎さんの攻撃パターン。
性格、プレイスタイル、今日よく決まっている攻撃、飛距離、目線、身体の角度。
なんでも良い、考えるんだ。
「ここね」
膝を最大限曲げ、高く飛ぶ。
正面に手や目を向け、スパイクを待つ。
「甘いねー、彼女ちゃん…!」
私の右側、僅かに空いたスペースを見つけると、木兎さんは遠慮なく腕を振り下ろす。
「どこがですか?」
木兎さんが腕を振り下ろすタイミング、ボールが木兎さんの手から離れ、どうにも出来なくなったタイミングで前に出していた腕を右側に持って行く。
間に合うか……?
バンッ、という一際重い音がし、ボールが床に叩き落とされた。