第54章 スペシャリスト
「でも夜久さん!」
「な、なんだよリエーフ」
「いくら痛かったとはいえ、波瑠さんの肩を握ってたのはダメですよー。
妬きます」
「はぁ?
なんでお前が妬くんだよ、意味分かんねーよ」
「だって、波瑠さんの肩をあんなに強く、ずっと…」
「ッ…」
リエーフに改めて言われ、先程自分がしたことが脳裏に浮かぶ。
「あれれ、夜久顔赤いぞー。
ひょっとして思い出して照れちゃったのかな?」
「う、煩い」
「赤くなるようなことでした…?」
「「「「え??」」」」
「え?」
「ちょっとるぅ〜?
天然で男の子たぶらかさないでよ!」
「はい?」
天然?
たぶらかす?
意味が分からなくて首を傾げる。
「良いか、彼女ちゃん。
よく聞けよ?
男なんてモンは下心があるような奴ばっかなんだよ。
何されるか分かったもんじゃねェ。
だからそんな軽々しく身体を触らせちゃいかん」
ガッ、と肩に手を置かれ、真剣な表情で言われた。
「黒尾…さん?」