第37章 誘惑
「う、ううん。
なんでもない、こっちの話。
じゃあ波瑠ちゃん…で」
「良いよ。
じゃあまた明日、仁花」
「うっ、うん!
また明日」
ネガティブ思考の子なんだな。
あれはあれで可愛いけど。
はぁ、本当に疲れた。
「ただいま」
「…おかえり」
「!」
返事が返って来るのなんて、いつ以来だろう。
「何ボケッとしてんのさ」
「いや、返事返って来るとは思わなかったから」
「ふーん。
ていうかお腹空いたんだけど」
「食べてないの?」
「そんな自分勝手じゃないから」
「…ありがとう、先着替えて来る」
制服から、Tシャツとショーパンというラフな格好に着替える。
そういえば蛍も着替えてたな。
手早く着替えを済ませて、蛍の元へと戻る。