第35章 顔合わせ
翌朝。
朝練は見学を余儀なくされた。
本当はもう動けるのに。
朝だけは一応、だそうだ。
私の身体を気遣ってくれているのが分かる。
「ねぇ、蛍。
そういえばなんであの人マネージャー断念したの?」
絶対自分の意見は曲げなさそうなのに。
「最終的には清水先輩が」
「何か言ったの?」
「そう」
“ マネージャーは部員全員をサポートするのが仕事。
誰か1人にしか目を向けられないなら辞めて。
迷惑だから ”
「そう言った」
「清水先輩、ストレートだなぁ」
私も人のこと言えないけど、
「手、平気なの?」
「割りと」
「ふーん」
何か言いたそうな顔。
「不便なこととかあるでしょ?」
「今のところはない…けど」
なんでそんなこと聞くんだろう。
「何かあったら僕に言えば?
暇だったら聞いてあげなくもないから」
「そうする」
不器用な言い方。