第3章 クイーン
休憩に入り、仕事がひと段落するとスイッチを切った。
やっぱり入れたままだと疲れるな。
ふぅ…と長めの息をゆっくり吐き出す。
スイッチが入っている時は、いつでも動けるように常に身体が暖まっている。
元々低体温ということもあり、それを持続させるのが辛かったりする。
体育館の端の壁に寄り掛かる。
「とりあえず自己紹介からするべ」
菅原さんの提案で各々自己紹介を済ませる。
「柏木波瑠です」
名前だけを簡潔に述べる。
「こ、こいつスイッチ切れると基本的淡白なんで」
影山が珍しく他人をフォローした。
「なんで俺がお前のフォローをしなきゃいけねぇんだよ」
傍に2人しか居なくなったところで、イライラした様子で言う。
「そっちが勝手にしただけ」
「あ?」
「睨んでも怖くない」
あの笑顔の方がよっぽど怖いし。