第3章 クイーン
「おい、田中。
あのマネ何者だ?
さっき西谷にサーブ打ってたろ」
「さぁ…俺もさっぱり」
「あれ凄ぇよ、実際。
受けてみりゃ分かる」
「ノヤ」
「挑発かは知らないけど俺の目の前に来た。
レシーブ出来てもそれから上手く繋がるかは微妙だな」
難しそうな、でもワクワクしたような顔で言った。
「ねぇ、烏養くん。
僕あの子どこかで見たことある気がするんだけど…気のせいかな?」
「さぁな、俺は知らん」
「そりゃ有名ですからね」
ドリンクを置きに来た影山が静かに告げる。
「有名?
一体どういうことです?」
「…中学…が一緒だったんすけど。
あいつはクイーンって言われてるような、女子バレー部のエースでした」
「ひょっとして王様みたく自己中の独裁者って意味?」
「あ?」
「喧嘩、するなよ」
早めに澤村さんが牽制した。