第1章 消失
中学校での部活の集大成、3年最後の中総体。
その決勝戦、私は本気を出してプレーしていた。
…私だけが、私1人とその他のチームメイトで戦っていた。
鋭いサーブ。
安定したレシーブ。
高いブロック。
少なからず、戦力になっていると思っていた。
予選決勝戦が始まってすぐ、ピーッと笛の音が鳴り響いた。
チラリと目を向ければ、1番の札を持った後輩が立っている。
交代…。
どうして始まったばかりのこの時に。
私は別に調子が悪くはなかった。
「…」
納得がいかないながらもその札を受け取り、コートを降りた。
「柏木。
皆が皆、あなたのような技量を持っている訳じゃないのよ」
顧問の冷たい声が聞こえる。
そんなの知ってる。
とっくに分かってる。
「あなたが先頭を走れば。
着いて行く者は息を切らし、倒れる者も出るの」
結局、何が言いたいのだろうか。