第18章 勝ちの価値
「…分かんない。
けどやっぱり勝ちたいんだ。
勝つことでプレッシャーがかかるなら、もっと勝つことでそれを打ち消す。
俺下手だからプレッシャーとか、そういうの分かんないけど。
でも勝ちたい。
勝って少しでも長くコートに立っていたい。
もう負けたくないんだ」
「…答えになってないし。
でも…ふふっ。
やっぱり日向は日向だね。
相変わらず真っ直ぐ突っ走る」
後先考えず、ただただ前へと。
「リエーフくん、夜久さんのとこ行こ?
遅いとより長くさせられるかもね」
「ひっ…い、行って来ますー」
血相を変えて走って行った。
置いてかれちゃったけど、まぁ良いか。
「負けたくない、ね。
それは確かにそうだね」
ポン、と日向の頭を撫でる。
「な、撫でるなよ!」
なんか可愛い。
振り払われないのを良いことに、そのままワシャワシャと撫で続ける。
誰かにこんなことしたこと、なかったからな。
凄い新鮮。