第1章 イングリッシュラベンダー
〈君は、強いんだねって言ったんだよ〉
少し驚いた顔をした男の子。
〈僕より、君の方が強いんじゃない?…君は、最年少で、アメリカJr大会を優勝した、フウカ・アオノでしょう?〉
〈あぁ、そうだよ。バレてましたか〜〉
〈うん、知ってた。観に行ってたから、だから、君だと直ぐにわかった〉
キラキラと瞳を輝かせた美少年。
〈君の名前を聞いてなかったね〉
〈あぁ、僕は、リリアデント・クラウザー〉
〈クラウザーね。私の事は、知っているから、名乗らんでいいか〉
〈フウカさん〉
〈ん。そのさん付けは、いいから〉
〈いや、でも。……僕より年上だし〉
〈一つしか違わないでしょう〉
〈でも!〉
〈クラウザー(黒笑)〉
〈はい……フウカ〉
〈よろしい〉
美少年ことクラウザーとの出会いだった。
クラウザーとも、リョーマと同じく、家に来てはテニスをしていた。
〈フウカ、フウカ!〉
って、キラキラした目で私の名前を連呼する。
「(なんか、犬に懐かれた気分……)」
私より小さいクラウザーの頭を撫でる。
フニャッて笑った。
「(何コイツ、超可愛いんですけどで!!)」
その後も、試合して、休憩してを繰り返していた。
クラウザーは、メキメキと、成長していく。
「(本当、成長が速いこと)」
〈フウカ!〉
今日も私の所にクラウザーが来る。
クラウザーと出会ってから&ドイツに来てから2年が経った。
「(なんか、またどっか行きそうなんだよね〜)」
〈フウカ!〉
クラウザーがギューッっとハグしてくる。