第53章 【Desire】25 millieさま・chiseiさまリク
深夜2時
海鳴りを聞きながら起きる。
あけぼの荘の中は寝静まっている。
隣で眠ってる翔くんを起こさないようにそっと寝床を出た。
台所に行くと、雅紀が朝飯の支度をしていた。
「おはよ」
「おはよ。大野さん。今日は天気いいよ」
「そか」
お客さんが多い時は、漁は休んで民宿や釣り船のほうが忙しい。
今はシーズンオフで、漁に出る日のほうが多い。
「海、静かだな」
「天気がいいからね。船が扱いやすくっていいや」
お客さんもいないから、俺達の分と翔くんとチビどもの飯も一緒に作っておいて、俺達は先に食って家を出た。
「さあ、頑張ろうねぇ!」
「おお」
漁の準備をして、船を出す。
まだ日の昇らないうちに近海に出て、魚を取ってくるのが最近の日常だ。
今の時期はイサキ漁。
小さい船だから、大掛かりな漁ではないので二人で十分だった。
漁を終えて、漁協に魚を預けて帰ると、もう昼。
あけぼの荘に帰ると、翔くんがお昼ごはんを準備していた。
「おかえり!お風呂沸いてるから入ってきて!」
「ただいま。ありがとう」
雅紀の目を盗んで、そっと腰を抱き寄せてキスする。
翔くんは頬を染めて嬉しそうに笑う。
それだけで、漁の疲れなんか吹っ飛ぶんだ。