第5章 目指せ!赤点回避!〜ハラハラの勉強会〜
散々泣いて泣いて
涙も出なくなってきた頃
月島君に抱きしめられていることを思い出す。
背中あったかいな…
でもそろそろ離れなきゃ….
そう思い後ろを振り向くと月島君と目が合う。
「泣きすぎですよ…目元真っ赤…」
『ごめん…』
すると向かい合った状態からまた抱きしめられ頭に頬を寄せられながらながら「こうしてるとどっちが年上だかわからないデスね?」なんて言われちゃう。
『泣かせたのは、月島くんでしょ?』
なんて笑うと月島くんはつぶやいた。
「蛍」
『え?』
何を言われたかわからなくて聞き返すと月島くんは少し体を離し同じ高さに目線を持ってきて私の目を見つめた。
「けい…って呼んでくれませんか?」
眼鏡の奥の瞳に魅入られてしまい、わたしはただ言われるままに名前を呼んだ。
『けー…くん?』
すると蛍君は口元に笑みを浮かべいつもの調子にもどしてこういった。
「…よくできました」
いつもより意地悪じゃない
ちょっと素直なカレに
私の心は少しだけときめきを感じた。