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年下のオトコノコ【HQ】

第5章 目指せ!赤点回避!〜ハラハラの勉強会〜


side月島

「それ…どういうことですか?」

冬乃さんの真剣な顔に聞かないほうがいいんじゃないかと思ったが、僕の口は疑問を口に出さずにはいられなかった。

冬乃さんは僕の方を見て寂しそうに笑った。


やっぱり姉妹だな。
椎名さんも冬乃さんもふとした表情が似てる。

ーーあの時

椎名さん(カノジョ)も

そんな顔をしていたな…

初めて会った時の表情を思い出していると、冬乃さんが悲しそうな表情で、ぽつり、ぽつりと話をし始めた。



「うちの姉、今年の3月まで東京の編集社にいたんです。
東京にいる時の姉はすごく楽しそうで…


でもっ…急に帰ってきたんです。」


冬乃さんはぐっと堪えるような顔をしながら続けた。

「転勤だって…言ってました。

でもおかしいんです…」

苦しそうな冬乃さんを促すように菅原さんが話しかける。


「おかしいって…なにが…「なにか違うんです!」

菅原さんの方を向いた冬乃さん。
今にも涙がこぼれそうだ。

「表情っていうか…なんていうか…
姉妹だからわかるけど、何かが違う!

でもっ…あたしには…何もできない……」


ついには泣き出してしまった冬乃さんに僕はハンカチを渡す。

「ありがと… 」
冬乃さんはハンカチを受け取ると溢れた涙をぬぐった。






『こらっ!ふーゆーの?』

びくり。
話題の張本人である椎名さんの声でみんなの肩が跳ねた。
一斉にキッチンの方に振り向くと椎名さん本人が立っている。

「椎名さん…」

僕が名前をつぶやくと、椎名さんは苦笑いしながらはあと息を吐いた。

『やっぱり気づかれてたか…昔からカンはいいもんね…』

寂しそうに微笑む椎名さんに冬乃さんが抱きつく。

「だって…だってかのねー。昔から何にも言ってくれなくて…」

『ごめんね…?でもまだ言えない…』

椎名さんは冬乃さんの頭を優しく撫でて笑った。

『いつか…言えるようになったらちゃんと言うね?それまで待ってくれる?』

冬乃さんはうなづくと椎名さんに促され洗面所に行った。

『みんなごめんね?
お昼ご飯できたから片付けてもらっていい?』


みんな気になるようだったが何も言わずテーブルの上を片付けていた。


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