第14章 檸檬
眠っている背中を後ろから抱きしめる。
うなじに顔を埋めると、甘酸っぱい香りがする。
爽やかな、檸檬のような。
その香りを吸い込みながら、眠りにつく。
「カズヤ…」
「なぁに…?にーの…」
「おやすみ…」
くるりとこちらを向くと、ちゅっと唇にキスを落とす。
「おやすみ、にーの…」
そのままとろとろと眠りに落ちていく。
大学生になったというのに、まだ甘えたで。
そっと鼻の頭にキスをすると、くすぐったそうに微笑んで眠りにおちる。
「いい夢を…」
ぎゅっと抱きしめると、またあの匂いが漂った。