第12章 一人は好き。独りは嫌い。〜過去篇〜
「落ち着いて聞いてね…お父さんとお母さん、事故に遭って今病院に運ばれたらしいの。今から先生と病院に行こうね。」
先生にそう言われたのは、雲ひとつない、春の日のこと。
私が四歳の時だった。
「残念ながら…。助けてあげられなくて本当に申し訳ない気持ちです。」
病院の先生がそう言った。
私が病院に着いて間もなく両親は息を引き取った。
まだ幼かった私は突然で、誰かの死に対して実感が沸かなくて
一番身近で大切な人を失ったにも関わらず涙は出なかった。
涙を流しているのは私じゃなくて幼稚園の先生だった。
私は母方の祖父母の元で生活する事になった。
けどその生活も長くは続かず、祖父母はそれぞれ時期は違ったものの病気で亡くなってしまった。
それから私は叔父叔母に引き取られた事によって本当に居場所はなくなってしまった。