第1章 君が好き。
私の日課。
翼と朝、一緒に登校する事。
翼と放課後、一緒に帰る事。
かれこれ10数年。
私の気持ちを翼に伝えられないまま時間(トキ)だけが経っていく。
「梓ー?」
「何?」
翼が登校中に私の顔を覗き込む。
「いや、最近元気ねぇなーって思ったんだけど何か悩みでもあるの?」
「別に」
嘘。
大嘘。
本当は翼の事で悩んでいる。
私は早歩きで歩いて翼との距離をとっていく。
「ちょっ!待ってよ翼!!」
「朝練に遅れるから」
「相変わらず冷めてんなー」
「昔から天真爛漫でバカの翼に言われたくない」
笑顔で追ってくる翼を無視して学校まで向かった。