第5章 帰り道
私は泣きすぎて目が痛くなって
それでまた泣いた
「おまえ泣きずぎっ!」
彼は声を上げて笑った
私もつられて笑う
信じられない、私に初めて彼氏が出来たんだ・・・
「あ、あのさっ」
私は涙を拭いながら
「私も高城君の事名前で呼んでいい?」
少し恥ずかしそうにわらいながら訪いかけた
「お・・・おう」
そういう彼も恥ずかしそうだった
「そろそろ帰るかっ」
うん!と言うより早く彼は歩きだした
「ちょ!・・・ゆ、優太ぁっ・・・待ってぇ!」
鞄に乱暴に教科書を詰め込んで後を追いかける
「はやくぅー置いてくぞぉ?」
意地悪そうな顔をしてこっちをみる
「もぉ!・・・っしゃぁ!!行くよ!」
走って後を追いかける
隣に並んで歩くと少し照れ臭くてにやけてしまう
「なににやけてんの?」
不意に顔を覗き混まれて赤面する
「な、なんでもないっ!」
「・・・おもしれぇっ」
からかうようにケラケラ笑う
長めの前髪がふわっと揺れた
私もつられて笑う
自然とお互いの手が触れて
仲良しな幼稚園児みたいに、繋いだ手をぶんぶん振りながら帰った。